症例報告

類上皮細胞形態を呈した脱分化脂肪肉腫の1例

窪田　瑞希¹　　　望月　邦夫¹　　　細村　直弘²
森阪　裕之³　　　市川　大輔²　　　近藤　哲夫¹

（¹山梨大学医学部人体病理学講座，²同　外科学講座第一教室，³同　放射線医学講座）

要旨: 脱分化脂肪肉腫における脱分化成分は多彩で時として診断が困難となる。今回我々は後腹膜に発生した類上皮細胞形態を呈した脱分化脂肪肉腫の稀な1例を報告する。症例は40代男性。組織学的には小型の上皮様細胞が小胞巣状構造をとってびまん性に増殖していた。免疫染色でそれらの細胞はMDM2とp16に陽性を示し，蛍光in situハイブリダイゼーション（FISH）でMDM2遺伝子の増幅を確認した。以上より脱分化脂肪肉腫と診断した。診断後のHE標本の再検討では腫瘍辺縁に少量の高分化脂肪肉腫成分を認めた。

キーワード:Dedifferentiated liposarcoma, Retroperitoneum, Epithelioid cell

A case of dedifferentiated liposarcoma with epithelioid cells

Mizuki Kubota¹, Kunio Mochizuki¹, Naohiro Hosomura², Hiroyuki Morisaka³, Daisuke Ichikawa², and Tetsuo Kondo¹

¹Department of Pathology, Faculty of Medicine, University of Yamanashi
²First Department of Surgery, Faculty of Medicine, University of Yamanashi
³Department of Radiology, Faculty of Medicine, University of Yamanashi

（論文受付:2022年7月29日）

（採用決定:2022年10月4日）