総　　説

婦人科臓器における遺伝性腫瘍症候群

外岡　暁子

（がん研究会がん研究所病理部）

要旨: 近年の遺伝子パネル検査の普及により遺伝性腫瘍症候群の疑いで遺伝学的検査に進む患者が増え，病理医にもその知識は必須なものとなった。今回は婦人科臓器に関係する遺伝性腫瘍症候群のうち，頻度の高いLynch症候群と遺伝性乳癌卵巣癌（HBOC）についてその遺伝子異常と病理組織学的特徴，病理医との関わりについて概説する。特にその診断に病理医が関与するMMR蛋白の免疫染色判定とRRSOにおける卵管検索法についても解説する。

キーワード:Lynch syndrome, MMR, HBOC, BRCA

Hereditary tumor syndromes in gynecological organs -Lynch syndrome and Hereditary breast ovarian cancer-

Akiko Tonooka

Division of pathology, cancer institute, Japanese foundation for cancer research

（論文受付:2022年11月1日）

（採用決定:2022年12月2日）