総　　説

乳腺針生検病理診断update

堀井　理絵

（埼玉県立がんセンター病理診断科）

要旨: 乳腺針生検の病理診断は日常診療に定着したが，現在でも，診断に難渋する症例が一定の割合で存在する。また，疾患概念の変化や診療の進歩に伴い，求められる内容が変化している。本稿では，肉芽腫性乳腺炎，非古典型の浸潤性小葉癌，HER2の腫瘍内不均質性を示した浸潤癌の針生検標本を提示し，診断時の注意点を紹介する。いずれも筆者が最近経験した症例で，一般的な乳腺針生検に関する総説では扱われないような内容である。乳腺針生検診断のupdateとして役立てていただきたい。

キーワード:breast needle biopsy;pathology;granulomatous mastitis;invasive lobular carcinoma, non-classic type;HER2 intratumoral heterogeneity

An update on pathological diagnosis of breast needle biopsy specimens

Rie Horii

Department of Pathology, Saitama Cancer Center

（論文受付:2022年11月6日）

（採用決定:2022年11月14日）