症例報告

腸間膜静脈硬化症による虚血性腸炎に腸管嚢胞様気腫症が合併した1例

中村　麻予¹　　　池上　雅博²　　　下田　将之³

（¹東京慈恵会医科大学附属第三病院病院病理部，
²東京慈恵会医科大学附属葛飾医療センター病院病理部，
³東京慈恵会医科大学病理学講座）

要旨: 症例は80歳代女性，漢方薬の内服歴がある。血便の精査にて腸間膜静脈硬化症と診断され，経過観察されていたが，突然の強い腹痛，発熱および腹部CT検査にて上行結腸腸管気腫および肝周囲と下大静脈周囲のfree airを認めたため，大腸穿孔の疑いにて拡大右半結腸切除術が施行された。病理組織学的検索によって，腸間膜静脈硬化症による虚血性腸炎および腸管嚢胞様気腫症の合併と診断した。術後，癒着性イレウスを認めたが，その後経過良好である。腸管静脈硬化症と腸管嚢胞様気腫症の合併例は極めて稀であり，報告する。

キーワード:colon, mesenteric phlebosclerosis, pneumatosis cystoides intestinalis, ischemic colitis

A case of ischemic colitis caused by mesenteric phlebosclerosis and pneumatosis cystoides intestinalis

Mayo Nakamura¹, Masahiro Ikegami², and Masayuki Shimoda³

¹Department of Pathology, The jikei University School of Medicine, Daisan Hospital
²Department of Pathology, The jikei University School of Medicine, Katushika Medical Center
³Department of Pathology, The jikei University School of Medicine

（論文受付:2022年 5月31日）

（採用決定:2022年 9月 1日）