症例報告

臍帯血管異常を伴った間葉系異形成胎盤の1例

大澤　一太¹　　　池村　雅子¹　　　阿部　浩幸¹
牛久　　綾¹　　　入山　高行²　　　中西　恵美²
牛久　哲男¹

（¹東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野，²東京大学医学部附属病院女性診療科産科）

要旨: 間葉系異形成胎盤（PMD）に関連する臍帯血管異常により，子宮内胎児死亡（IUFD）に至ったと考えられる1例を経験した。母体は37歳女性で，妊娠29週より臍帯嚢胞を指摘されていた。33週，IUFDと診断され，死児を娩出。胎盤にはPMDとともに，周囲の絨毛に広範な虚血がみられた。さらに臍帯偽嚢胞，臍帯静脈瘤出血などの臍帯異常を合併していた。PMDにおけるIUFDの原因は不明な点も多いが，本例では臍帯血管異常による絨毛の血流減少が，IUFDの原因と考えられた。

キーワード:Placenta, Placental mesenchymal dysplasia, Umbilical cord, Intrauterine fetal death

A case of placental mesenchymal dysplasia with umbilical cord abnormalities

Kazuhiro Ohsawa¹, Masako Ikemura¹, Hiroyuki Abe¹, Aya Ushiku¹, Takayuki Iriyama², Emi Nakanishi², and Tetsuo Ushiku¹

¹Department of Pathology, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
²The Department of Obstetrics and Gynecology, The University of Tokyo Hospital

（論文受付:2022年 3月 3日）

（採用決定:2022年 6月23日）