症例報告

肺癌に対する肺葉切除検体において偶発的に発見された気管気管支アミロイドーシスの1例

佐々木八重¹　　　緒方　　衝^1,3　　　島?　英幸¹
小森　和幸²　　　亀田　光二²　　　橋本　博史²
松熊　　晋^1,3

（¹防衛医科大学校病院検査部，²同　呼吸器外科，³防衛医科大学校臨床検査医学講座）

要旨: 気管気管支アミロイドーシス（tracheobronchial amyloidosis;以下TBA）は，肺の限局性アミロイドーシスの中で稀な亜型である。我々は，高齢男性の肺癌症例に偶発したTBAを経験した。肺葉切除検体における病理学的な検索では，浸潤性肺腺癌とともに，これから離れた気管支粘膜下に好酸性物質の限局性沈着像が認められ，気管支腺領域の間質にも好酸性物質が沈着し，気管支腺の萎縮を伴っていた。好酸性物質はコンゴ赤染色にて赤染，かつ偏光観察下で緑色の複屈折性を呈し，TBAと考えられた。アミロイドが沈着した気管支の内腔狭窄はなく，本症例の無症候性に反映されたものと考えられた。

キーワード:Lung, lung cancer, pulmonary amyloidosis, tracheobronchial amyloidosis

Incidental tracheobronchial amyloidosis with a lung cancer:a case report and review of literature

Yae Sasaki¹, Sho Ogata^1,3, Hideyuki Shimazaki¹, Kazuyuki Komori², Koji Kameda², Hiroshi Hashimoto², and Susumu Matsukuma^1,3

Departments of ¹Laboratory Medicine and ²Surgery, National Defense Medical College Hospital
³Department of Pathology and Laboratory Medicine, National Defense Medical College

（論文受付:2022年 4月 1日）

（採用決定:2022年 4月25日）