症例報告

COVID-19関連慢性組織球性絨毛間炎の1例

横尾　貴保¹　　　山田　　倫¹　　　川上　　史¹
菰原　義弘²　　　三上　芳喜¹

（¹熊本大学病院病理診断科，²熊本大学大学院生命科学研究部細胞病理学講座）

要旨: 患者は28歳の女性で，妊娠26週時に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2（SARS-CoV-2）による感染症（COVID-19）に罹患していることが判明し，翌週子宮内胎児死亡が確認された。肉眼的には胎盤は灰白色調を示す部位から淡褐色調を示す部位が混在するまだらな色調を呈しており，弾性硬であった。組織学的には慢性組織球性絨毛間炎と栄養膜細胞の壊死が広範に認められ，免疫組織化学染色および電子顕微鏡により合胞体栄養膜細胞においてSARS-CoV-2の存在が確認された。慢性組織球性絨毛間炎と栄養膜細胞の壊死はCOVID-19に関連する特徴的な変化で，その程度は児の転帰と相関すると考えられることから，これらの所見に注意し検索する必要がある。

キーワード:placenta, SARS-CoV-2, COVID-19, chronic histiocytic intervillositis

A case of chronic histiocytic intervillositis associated with COVID-19

Kiho Yokoo¹, Rin Yamada¹, Fumi Kawakami¹, Yoshihiro Komohara², and Yoshiki Mikami¹

¹Department of Diagnostic Pathology, Kumamoto University Hospital
²Department of Cell Pathology, Graduate School of medical Sciences, Faculty of Life sciences, Kumamoto University

（論文受付:2022年 3月10日）

（採用決定:2022年 4月 6日）