総　　説

骨巨細胞腫の病理

加藤　生真¹　　　伊藤　絢子²　　　川端　佑介³
竹山　昌伸³　　　藤井　誠志^1,2

（¹横浜市立大学医学部分子病理学，²横浜市立大学附属病院病理診断科，³同　整形外科）

要旨: 骨巨細胞腫は古くから知られた疾患であるが，多彩な構成細胞故にその病態に関する理解が進んでいなかった。近年発見されたH3F3A遺伝子変異およびH3.3 G34Wをはじめとする特異的抗体の普及は，病態の理解を大きく促進した。特に，デノスマブ治療後の変化・巨細胞を伴わない骨巨細胞腫・悪性骨巨細胞腫といった多彩な病態は，組織像と免疫組織化学的所見を統合した観点からの理解が重要であり，本稿ではこれらを重点的に解説する。

キーワード:bone, giant cell tumor of bone, H3.3 G34W, immunohistochemistry

Pathology of giant cell tumor of bone

Ikuma Kato¹, Junko Ito², Yusuke Kawabata³, Masanobu Takeyama³, and Satoshi Fujii^1,2

¹Department of Molecular Pathology, Yokohama City University Graduate School of Medicine
Departments of ²Diagnostic Pathology and ³Orthopaedic Surgery, Yokohama City University Hospital

（論文受付:2022年 5月 9日）

（採用決定:2022年 5月23日）