総　　説

肺腺癌の病理診断:課題と解決法

吉澤　明彦^1,2

（¹京都大学医学部附属病院病理診断科，²京都大学大学院医学研究科附属総合解剖センター）

要旨: 2021年，肺癌のWHO分類第5版が発刊された。大幅改訂のあった2015年のWHO分類と比べ大きな変更はないが肺腺癌においてはいくつか課題が残っている。肺腺癌における“浸潤”は亜分類を正確に行うためにも重要である反面，現場では未だ病理医を悩ましているようにもみえる。また，新たな増殖パターンや，それを加味した組織学的グレーディングが紹介されている。本稿では，こうした点について解説を行う。

キーワード:Lung adenocarcinoma, WHO classification, diagnosis, subtype, grading system

Pathological diagnosis of lung adenocarcinoma:challenges and solutions

Akihiko Yoshizawa^1,2

¹Department of Diagnostic Pathology, Kyoto University Hospital
²Center for Anatomical, Pathological, and Forensic Medical Researches, Graduate school of Medicine, Kyoto University

（論文受付:2022年 2月10日）

（採用決定:2022年 3月 7日）