総　　説

WHO脳腫瘍分類第5版，主な変更点

小森　隆司

（東京都立神経病院検査科）

要旨: HO脳腫瘍分類第5版では分子分類が一層推し進められ，多くの腫瘍の定義が組織型と遺伝子型を組み合わせたものとなると共に，悪性度の評価にも分子情報が組み込まれた。悪性度分類は腫瘍型ごとに評価する腫瘍縦断型に変更，表記はアラビア数字に改められた。遺伝子情報に基づいた22の新規腫瘍型が採用され，浸潤性グリオーマは成人型と小児型とに，小児型は更に低悪性度群と高悪性度群に分けられた。病理診断には，組織像，悪性度，遺伝子情報を総合的に勘案するintegrated diagnosisが推奨された。

キーワード:brain tumors, WHO classification, pathology, molecular genetics, integrated diagnosis

Central nervous system tumors of the WHO classification of tumors series, 5th edition:a short review

Takashi Komori

Department of Laboratory Medicine and Pathology, Tokyo Metropolitan Neurological Hospital

（論文受付:2022年 2月 9日）

（採用決定:2022年 3月17日）