症例報告

脳血管に浸潤し脳出血をきたしたCD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の剖検例

田中 一仁1   大倉 航平1   天達 俊博2
山城 重雄2   神尾多喜浩1

1済生会熊本病院中央検査部病理診断科,2同 脳卒中センター)

要旨: 症例は70代女性。死亡2ケ月前に左前頭葉の脳内出血で入院した。転院先で歩行時のふらつきなどの症状が出現し,CTで前頭葉の脳梗塞・出血と右小脳の脳内出血を認めた。再入院後,CTで膵尾部に腫瘤がみられ,sIL-2Rが高値であることから,悪性リンパ腫が疑われた。
 剖検では脳血管を含む全身の血管内病変を伴うCD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断した。肉眼的には膵周囲リンパ節の腫瘍が最大病変であった。CD5陽性DLBCLはCD5陰性DLBCLと比べて予後が悪く,しばしば血管内病変がみられるとされている。

キーワード:Diffuse large B-cell lymphoma, Intravascular large B-cell lymphoma, Central nerve system, autopsy case


An autopsy case of CD5-positive diffuse large B-cell lymphoma with cerebral hemorrhage and infiltration of blood vessels

Kazuhito Tanaka1, Kohei Okura1, Toshihiro Amadatsu2, Shigeo Yamashiro2, and Takihiro Kamio1

Departments of 1Pathology and 2Neurosurgery, Saiseikai Kumamoto Hospital

(論文受付:2021年6月16日)

(採用決定:2021年10月27日)