症例報告

下行結腸原発Histiocytic sarcomaの1例

阿部　千恵^1,2　　　米田　玲子¹　　　毛利　太郎²
山田　優衣³　　　 山田　裕一²　　　小田　義直²

（¹国家公務員共済組合連合会浜の町病院病理診断科，²九州大学大学院医学研究院形態機能病理学，
³一般財団法人平成紫川会小倉記念病院病理診断科）

要旨: Histiocytic sarcoma（HS）は稀な疾患で，とりわけ結腸発生例は数例しか報告がない。今回我々は下行結腸に発生したHSの1例を報告する。症例は47歳女性。内視鏡検査で下行結腸に腫瘤を認め，CTでリンパ節と肝臓への転移が疑われた。腸重積を来しており，左側結腸切除術が施行された。腫瘤は軟らかく淡褐色充実性で，組織学的に上皮様または組織球様の異型細胞がびまん性に増殖し，血球貪食像もみられた。免疫染色で異型細胞はCD68とCD163に陽性を示した。以上の所見よりHSと診断した。

キーワード:colon, histiocytic sarcoma, hemophagocytosis, CD68, CD163

A case of histiocytic sarcoma in the descending colon

Chie Abe^1,2, Reiko Yoneda¹, Taro Mori², Yui Yamada³, Yuichi Yamada², and Yoshinao Oda²

¹Department of Pathology, Hamanomachi Hospital
²Department of Anatomic Pathology, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
³Department of Pathology, Kokura Kinen Hospital

（論文受付:2021年8月15日）

（採用決定:2021年10月13日）