総説

非腎腫瘍専門施設における組織診断に難渋する腎腫瘍への実際的なアプローチ

小島　史好　　　村田　晋一

（和歌山県立医科大学人体病理学）

要旨: コンサルテーションされることの多い腎腫瘍として，主に1）高異型度で低分化な腎腫瘍，2）MiT family転座型腎細胞癌，3）mucinous tubular and spindle cell carcinoma様の腎腫瘍，4）嫌色素性腎細胞癌などの好酸性腎腫瘍が挙げられる。本稿では1〜3）の腫瘍について，診断に有用となるHE所見，非腎腫瘍専門施設でも施行可能と考えられる免疫染色を中心に解説する。非腎腫瘍専門施設にて，これらの腫瘍をどのように，どこまで検索すべきかについて，私見を述べたい。

キーワード:Kidney, Tumor, Unclassified, MiT family, Mucinous tubular and spindle cell carcinoma

The practical approach to kidney tumors that are difficult to diagnose in non-specialized institutions in kidney tumors

Fumiyoshi Kojima and Shin-ichi Murata

Department of Human Pathology, Wakayama Medical University

（論文受付:2021年10月30日）

（採用決定:2021年11月15日）