症例報告

長期の経過後に診断した粘膜下腫瘍様胃癌の1例

山田　敏雅¹　　　大島　健司^1,2　 　野間　俊樹³
山�普@　誠³　　　土岐祐一郎³　　　森井　英一^1,2

（¹大阪大学医学部附属病院病理診断科，²大阪大学大学院医学系研究科病態病理学講座，
³同　外科学講座消化器外科）

要旨:粘膜下腫瘍様胃癌は，胃癌の0.53%〜1.27%と比較的まれであり，生検での確定診断が困難な場合がある。本症例は長期間の経過を辿り，内視鏡検査と生検を行い経時的な変化を追うことができた胃粘膜下腫瘍様胃癌であり，考察を加えてこれを報告する。症例は60歳代女性であり，4年前から胃粘膜下腫瘍様の隆起性病変が認められていた。4年間の経過観察中に内視鏡所見で粘膜面に大きな変化はなく，生検で腫瘍性病変は認められなかった。4年目の経過観察の内視鏡で同部位の潰瘍形成を契機に低分化型腺癌と診断された。

キーワード:stomach, gastric cancer, submucosal tumor-like gastric carcinoma

A case of submucosal tumor-like gastric carcinoma diagnosed after a long-term course

Toshimasa Yamada¹, Kenji Ohshima^1,2, Toshiki Noma³, Makoto Yamasaki³, Yuichiro Doki³, and Eiichi Morii^1,2

¹Department of Diagnostic Pathology, Osaka University Hospital
Departments of ²Pathology and ³Gastroenterological Surgery, Osaka University Graduate School of Medicine

（論文受付:2021年2月9日）

（採用決定:2021年6月10日）