原　　著

COVID-19患者遺体の病理解剖実態調査（2020年4月から2021年1月）

平田雄一郎^1,2　 　飯田　　俊¹　　　新城　雄士¹
斉藤　久子²　　　永澤　明佳³　　　阿部　浩幸⁴
池村　雅子⁴　　　鈴木　忠樹¹　　　牛久　哲男⁴
秋冨　慎司^5,6

（¹国立感染症研究所感染病理部，²千葉大学大学院医学研究院法医学教室，
³千葉大学大学院医学研究院附属法医学教育研究センター，
⁴東京大学医学系研究科人体病理学・病理診断学，
⁵医療法人社団医凰会医療危機管理部，⁶日本医師会総合政策研究機構）

要旨:本研究は，2020年12月から2021年1月にかけての新型コロナウイルス感染症患者遺体の日本における病理解剖の実施状況並びに解剖実施時における感染防護体制に関してアンケート調査を行ったものである。アンケート結果からは，感染防護体制が不十分であるために多くの病理解剖施設で同感染症患者遺体の解剖に対して消極的にならざるを得ないことが示唆された。解剖従事者が十分な防護具を身につけて解剖が行えるよう，遺体からの感染力を正確に評価し，科学的根拠のある解剖実施のガイドラインを作成することが望まれる。

キーワード:COVID-19, autopsy, infection protection

Survey on implementation of pathological autopsies on patients with COVID-19 in Japan

Yuichiro Hirata^1,2, Shun Iida¹, Takeshi Arashiro¹, Hisako Saitoh², Sayaka Nagasawa³, Hiroyuki Abe⁴, Masako Ikemura⁴, Tadaki Suzuki¹, Tetsuo Ushiku⁴, and Shinji Akitomi^5,6

¹Department of Pathology, National Institute of Infectious Diseases
²Department of Legal Medicine, Graduate School of Medicine, Chiba University
³Education and Research Center of Legal Medicine, Graduate School of Medicine, Chiba University
⁴Department of Pathology, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
⁵Department of Medical Crisis Management, Medical Corporation Association Ioukai ⁶Japan Medical Association Research Institute

（論文受付:2021年7月7日）

（採用決定:2021年9月3日）