総 説
胃炎と胃症の生検診断
九嶋 亮治
(滋賀医科大学病理学講座・臨床検査医学講)
要旨: 胃生検では日常的に良悪性の鑑別が必要な病変からの狙撃生検とHelicobacter pylori(H. pylori)statusを知るための生検が多くを占めている。しかし,H. pyloriの感染率が低下し,除菌療法も普及,プロトンポンプ阻害薬などの多用により,胃粘膜の様相が変わってきた。自己免疫性胃炎の遭遇頻度も高くなり日本では稀な疾患とは言えなくなった。もはや「Group 1。悪性所見はありません」程度の診断ではすまされない。今日の胃炎と胃症の生検診断についてのポイントを述べる。
キーワード:stomach, biopsy, gastritis, gastropathy
Biopsy diagnosis of gastritis and gastropathy
Ryoji Kushima
Department of Pathology, Shiga University of Medical Science
(論文受付:2021年7月22日)
(採用決定:2021年8月2日)