症例報告

胎児貧血を伴う胎盤内絨毛癌の1例

松野　岳志¹　　　西村　広健¹　　　羽間夕紀子²
川本　　豊³　　　下屋浩一郎²　　　森谷　卓也¹

（¹川崎医科大学病理学，²同　産婦人科学，³同　新生児科学）

要旨: 26歳女性。自然妊娠で，在胎40週1日に胎児心音低下を指摘され，胎盤機能不全と診断され，帝王切開術により出産した。出生した児に著明な貧血を認め，母児間輸血症候群と診断された。胎盤の病理学的検索を行ったところ，割面に脆弱な組織からなる3cm大の梗塞様病変を認め，組織学的に胎盤内絨毛癌と診断した。母児間輸血症候群を合併した胎盤内絨毛癌では，児の高度な貧血を合併することが多い。高度な胎児貧血の場合，胎盤内絨毛癌を疑い胎盤を詳細に検索する必要がある。

キーワード : placenta, fetomaternal transfusion, fetal anemia, intraplacental choriocarcinoma

A case of intraplacental choriocarcinoma with fetal anemia

Takeshi Matsuno¹, Hirotake Nishimura¹, Yukiko Hazama², Yutaka Kawamoto³, Koichiro Shimoya², and Takuya Moriya¹

Departments of ¹Pathology, ²Obstetrics and Gynecology, and ³Neonatology, Kawasaki Medical School

（論文受付:2021年1月8日）

（採用決定:2021年4月16日）