症例報告

肝臓に発生した炎症性血管筋脂肪腫の1例

前田　晃樹¹　　　　笹原有紀子¹　　　　大谷　方子¹
田中　玲子¹　　　　竹内　杏奈¹　　　　澤住　知枝¹
田辺美樹子¹　　　　沼田　和司²　　　　稲山　嘉明¹

（¹横浜市立大学附属市民総合医療センター病理診断科，²同　消化器病センター）

要旨: 血管筋脂肪腫は血管，平滑筋細胞，脂肪細胞が混在した間葉系腫瘍である。今回，特異な組織像を呈した肝臓発生症例を経験したので報告する。48歳女性，背部痛の精査で肝腫瘤を指摘され，肝細胞癌の疑いで区域切除された。腫瘤は黄白色充実性，組織学的には高度の炎症細胞浸潤と少数の脂肪細胞を背景に，紡錘形あるいは多辺形の間葉系細胞の増殖を認めた。間葉系細胞は免疫染色でHMB45，Melan A陽性であり，稀な亜型である肝原発の炎症性血管筋脂肪腫と診断された。強い炎症像のため診断には免疫染色が有用と思われた。

キーワード : liver, angiomyolipoma, inflammatory subtype, immunohistochemistry, hepatocellular carcinoma

A case of inflammatory angiomyolipoma of the liver

Koki Maeda¹, Yukiko Sasahara¹, Masako Otani1, Reiko Tanaka¹, Anna Takeuchi¹, Tomoe Sawazumi¹, Mikiko Tanabe¹, Kazushi Numata², and Yoshiaki Inayama¹

¹Department of Diagnostic Pathology and ²Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center

（論文受付:2020年11月26日）

（採用決定:2021年3月30日）