症例報告

乳児の鼻咽頭側壁に発生した有毛性ポリープ（Hairy polyp）の1例

木村　幸子¹　　　光澤　博昭²　　　大森　義範³　　　吉藤　和久³　　　高橋　秀史¹

（¹北海道立子ども総合医療・療育センター検査部病理診断科，²同　耳鼻咽喉科，³同　脳神経外科）

要旨: 鼻咽頭側壁に生じたポリープ状病変，有毛性ポリープ（Hairy polyp）を経験したので報告する。症例は生後1ケ月の男児。呼吸障害・哺乳障害をきたし来院。鼻咽頭側壁の粘膜より隆起する可動性のある棍棒状ポリープを認めた。組織学的には，付属器を伴った皮膚に表面を覆われ，皮下は脂肪組織からなり，ポリープ中央部に表面に向かって放射状に延びる横紋筋束と基部に弾性軟骨を有していた。本症例は終糸脂肪腫を合併していたが，hairy polypに終糸脂肪腫を合併した報告は見当たらず，初めての報告と考えられる。

キーワード : nasopharynx, hairy polyp, teratoma, malformation, filum terminale lipoma

An infantile case of hairy polyp arising from lateral wall of the nasopharynx

Sachiko Kimura¹, Hiroaki Mitsuzawa², Yoshinori Omori³, Kazuhisa Yoshifuji³, and Shuji Takahashi¹

¹Division of Pathology and Laboratory Medicine and Departments of ²Otolaryngology and ³Neurosurgery, Hokkaido Medical Center for Child Health and Rehabilitation

（論文受付:2020年11月5日）

（採用決定:2021年3月26日）