症例報告

出産後に大量出血をきたした子宮海綿状血管腫の1例

熊谷　　輝¹　　　帯包　妃代¹　　　小川　真紀²
谷野　智將¹　　　中澤　直子³　　　佐藤　英貴³
吉新明日香³　　　今西由紀夫⁴　　　濱井　葉子⁴
横山　宗伯¹

（¹東京警察病院病理診断科，²中部徳洲会病院病理診断科，³東京警察病院産婦人科，
⁴東都文教病院産婦人科）

要旨: 症例は34歳の初回妊娠女性。妊娠40週3日で児を経膣分娩した。分娩後3時間30分で子宮内からの出血を生じ，保存的療法では止血困難であったため子宮全摘術が施行された。子宮の病理学的検索では，子宮後壁を主体として筋層内から内膜にかけて血管が増生しており，子宮内腔面では血管の露出および破綻像が認められ，子宮海綿状血管腫の破綻による出血と診断した。子宮に生じる海綿状血管腫は稀であるが，出産後の重篤な出血を引き起こすことがあり，産後の制御不能な子宮出血では血管腫を考慮に入れた病理学的検索が必要である。

キーワード:uterus, cavernous hemangioma, postpartum hemorrhage, hysterectomy

A case of diffuse cavernous hemangioma of the uterus causing postpartum hemorrhage

Hikaru Kumagai¹, Hiyo Obikane¹, Maki Ogawa², Tomoyuki Tanino¹, Naoko Nakazawa³, Hideki Sato³, Asuka Yoshiara³, Yukio Imanishi⁴, Yoko Hamai⁴, and Munehiro Yokoyama¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ³Obstetrics and Gynecology, Tokyo Metropolitan Police Hospital
²Department of Diagnostic Pathology, Chubu Tokushukai Hospital
⁴Department of Diagnostic Pathology, Tohto Bunkyo Hospital

（論文受付:2020年10月25日）

（採用決定:2021年1月29日）