症例報告

早期胃癌およびMénétrier病様巨大皺襞症を併発した若年性ポリポーシス症候群の1例

大倉　航平¹　　　佐野　直樹¹　　　須古信一郎²
今村　治男²　　　松本　克孝³　　　�熕X　啓史³
神尾多喜浩¹

（¹済生会熊本病院中央検査部病理診断科，²同　消化器病センター，³同　外科センター）

要旨: 40代後半，男性。マルファン症候群，盲腸癌，肝限局性結節性過形成の既往がある。約5年前から胃前庭部の大型ポリープを含む胃・大腸多発性ポリープが指摘されている。今回3年の経過で下痢が増悪し，胃病変からの蛋白漏出性胃腸症の診断で胃全摘術が施行された。病理学的に若年性ポリポーシスに伴う早期胃癌と巨大皺襞症と診断した。巨大皺襞はMénétrier病だけではなく，若年性ポリポーシスの多彩な表現型の1つとしても生じうる。

キーワード: Stomach, Juvenile polyposis syndrome, Early gastric cancer, Ménétrier' disease, Giant folds

A case of juvenile polyposis syndrome with early gastric cancer and Ménétrier-like giant folds

Kohei Okura¹, Naoki Sano¹, Shinichiro Suko², Haruo Imamura², Katsutaka Matsumoto³, Hiroshi Takamori³, and Takihiro Kamio¹

Departments of ¹Pathology, ²Gastroenterology, and ³Surgery, Saiseikai Kumamoto Hospital

（論文受付:2020年10月12日）

（採用決定:2021年1月15日）