症例報告

口腔細胞診のベセスダシステム
──NILM，LSIL（OLSIL），HSIL（OHSIL），SCCの鑑別点──

田沼　順一

（新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔病理学分野）

要旨: 現在，口腔・咽頭がんの死亡者は年間約8,000以上にもかかわらず，口腔がんに対して医療従事者，厚生労働省および多くの学会における認識は希少がんである1）。一方我々は2015年口腔細胞診のガイドライン5では，従来のパパニコロウ分類に代わり，世界基準であるベセスダシステムへの移行を新たに完成させたことで，前がん病変を含む早期がんの基準が画一化し，明確な判定基準の確立となった。そこで特に判定に苦慮するNILM，LSIL（OLSIL），HSIL（OHSIL），SCCの各々の鑑別点を詳細に紹介する。

キーワード:Oral cytology, Bethesda system, Papanicolaou classification, Oral epithelial dysplasia

Bethesda system for oral cytology:differentiation points for NILM, LSIL （OLSIL）, HSIL （OHSIL） and SCC

Jun-ichi Tanuma

Division of Oral Pathology, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences

（論文受付:2020年12月5日）

（採用決定:2021年3月1日）