症例報告

子宮広間膜に発生した上衣腫の1例

原嶋 祥吾1   岡  直美1   櫻田 潤子1
鈴木 博義2

   

1独立行政法人国立病院機構仙台医療センター病理診断科,2同 臨床検査科)

要旨: 症例は50代女性。子宮頸がん検診で指摘された右卵巣腫瘍に対し,当院婦人科で両側付属器+子宮全摘術を施行された。肉眼では卵巣,卵管と非連続性で広間膜に位置する腫瘍があり,組織学的には異型に乏しい類円形〜楕円形核を有する腫瘍細胞が,胞巣状,濾胞状,乳頭状等多彩な構造を示して増生していた。胞巣状領域では血管周囲偽ロゼット構造を認め,同部でGFAP陽性であり,上衣腫と診断した。稀な腫瘍で診断に難渋し,発生部位からはWolf管腫瘍等も鑑別に挙がったが,ロゼット構造とGFAP陽性像が診断に有用であった。

キーワード:ependymoma, extraneural ependymoma, broad ligament


Ependymoma arising from the broad ligament

Shogo Harashima1, Naomi Oka1, Junko Sakurada1, and Hiroyoshi Suzuki2

Departments of 1Pathology and 2Laboratory Medicine, National Hospital Organization Sendai Medical Center

(論文受付:2020年9月14日)

(採用決定:2020年11月17日)