症例報告

Diffuse midline glioma, H3K27M-mutantの1例

杉本　　亮¹　　　柳川　直樹¹　　　上杉　憲幸¹
佐藤　雄一³　　　刑部　光正¹　　　山田　範幸¹
別府　高明³　　　小笠原邦昭³　　　鈴木　博義²
菅井　　有¹

（¹岩手医科大学病理診断学講座，²独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床検査科／病理診断科，³岩手医科大学脳神経外科学講座）

要旨: 17歳男性の右視床に生じたH3K27M変異型びまん性正中膠腫（以下DMG）を報告する。組織像は退形成性星細胞膠腫であり，遺伝子解析はH3H3A遺伝子にK27M変異が認められ，免疫染色でH3K27M陽性，H3K27me3陰性を示すことからDMGと診断した。本症はH3F3A，HIST1H3B/C遺伝子に共通するK27M変異の同定を要するが，検出法に基準は示されていない。遺伝子解析の実地は一般的な病院では困難であり，免疫染色での代替的な評価に基づく診断も許容するべきではないかと思われる。

キーワード:thalamus, diffuse tumor, histone, H3K27M, H3K27me3

A case of diffuse midline glioma, H3K27M-mutant

Ryo Sugimoto¹, Naoki Yanagawa¹, Noriyuki Uesugi¹, Yuichi Sato³, Mitsumasa Osakabe¹, Noriyuki Yamada¹, Takaaki Beppu³, Kuniaki Ogasawara³, Hiroyoshi Suzuki², and Tamotsu Sugai¹

¹Department of Molecular Diagnostic Pathology, Iwate Medical University
²Clinical Laboratory / Division of Pathology, Sendai Medical Center
³Department of Neurosurgery, School of Medicine, Iwate Medical University

（論文受付:2020年6月2日）

（採用決定:2020年9月8日）