症例報告
術中迅速診断で診断し得た腹膜原発アデノマトイド腫瘍の1例
横尾 貴保 川上 史 大園 一隆
三上 芳喜
(熊本大学病院病理診断科)
要旨: 子宮体部癌肉腫の術中に診断し得た腹膜原発アデノマトイド腫瘍を報告する。85 歳,女性。大網,広間膜の播種を疑わせる結節が術中迅速組織診断に提出された。印環細胞様細胞を含む上皮様の細胞が硝子様間質を伴って索状に増殖する腫瘍で,腺癌の播種が鑑別となったが,淡青色調の基質を容れたリンパ管様構造物とこれを架橋するより糸状構造から,アデノマトイド腫瘍と診断した。アデノマトイド腫瘍は稀に腹膜に発生し,偶発病変として悪性腫瘍の手術中に見いだされることがある。播種病変の鑑別として念頭に置く必要がある。
キーワード:peritoneum, adenomatoid tumor, frozen section diagnosis
A case of primary peritoneal adenomatoid tumor diagnosed via intraoperative consultation
Kiho Yokoo, Fumi Kawakami, Kazutaka Ozono, and Yoshiki Mikami
Department of Diagnostic Pathology, Kumamoto University Hospital
(論文受付:2020年5月26日)
(採用決定:2020年8月11日)