症例報告

結腸生検で診断し得た消化管クリプトスポリジウム症の1例

石原　美佐¹　　　島田友香里²　　　勝嶌　浩紀¹
浅井　沙月¹　　　橋本　公夫¹

（¹神戸市立西神戸医療センター病理診断科，²同　消化器内科）

要旨: 健常若年者に発生した消化管クリプトスポリジウム症を経験した。同症は通常，特殊糞便検査でオーシストを同定することにより診断されるが，本例では消化管生検の病理組織標本内に虫体を認めたまれな例であり報告する。生検組織では好中球を主体とする高度の炎症細胞浸潤がみられ，粘膜の表層に付着する多数のPAS陽性好塩基性円形構造物（径3μm前後）を認めた。病理組織標本で同虫体を認識できる場合があるため，形態を知っておく必要があると考える。

キーワード:cryptosporidiosis, gastrointestinal tract, biopsy

A case of intestinal cryptosporidiosis

Misa Ishihara¹, Yukari Shimada², Hiroki Katsushima¹, Satsuki Asai¹, and Kimio Hashimoto¹

Depertments of ¹Diagnostic Pathology and ²Gastroenterology, Kobe City Nishi-Kobe Medical Center

（論文受付:2020年5月2日）

（採用決定:2020年7月13日）