症例報告

SMARCA4発現消失を示した肺小細胞癌の1例

丈達　真央¹　　　松山　篤二¹　　　千葉　要祐²
矢寺　和博²　　　久岡　正典¹

（¹産業医科大学医学部第1病理学，²同　呼吸器内科学）

要旨: 15年の喫煙歴を有する30代男性。顔面の浮腫を主訴に受診し，CTで右肺上葉に巨大腫瘍を指摘された。生検および細胞診で小細胞癌が疑われたため化学療法を開始したが進行性で，再生検でSMARCA4発現の消失が確認された。サイトケラチン，TTF-1のびまん性陽性像からSMARCA4発現消失を伴った小細胞癌と考えられた。若年患者である上に治療への抵抗性や明瞭な核小体などの細胞形態が一般的な小細胞癌とは異なっており，特異な腫瘍の可能性がある。

キーワード:lung, SMARCA4, TTF-1, small cell carcinoma

A case of SMARCA4-deficient small cell lung carcinoma

Mao Jotatsu¹, Atsuji Matsuyama¹, Yosuke Chiba², Kazuhiro Yatera², and Masanori Hisaoka¹

Departments of ¹Pathology and Oncology and ²Respiratory Medicine, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health

（論文受付:2020年3月17日）

（採用決定:2020年6月1日）