総　　説

糸球体疾患の腎生検病理診断
─診断取扱い規約の概説と活用─

堂本裕加子¹　　　長田　道夫²

（¹日本医科大学付属病院病理診断科，²筑波大学医学医療系腎・血管病理学）

要旨: 腎生検病理診断は，病型診断（光学顕微鏡的分類），病因診断（蛍光抗体法，電子顕微鏡）を臨床経過と照らしあわせて病態を推定し，臨床医に説明する行為である。この診断行程が広く普及されるためには，所見の把握から臨床病態の推定に至るまで，その作業過程を標準化する必要があるとの考えから，腎生検病理診断取扱い規約第1版が出版された。本稿はこの取扱い規約の概要とともに，腎生検病理診断の考え方を概説した。

キーワード:kidney pathology diagnosis, standardization, classification, pathophysiological interpretation

Pathological diagnosis of glomerular diseases:rules and practice

Yukako Shintani-Domoto¹ and Michio Nagata²

¹Department of Diagnostic Pathology, Nippon Medical School Hospital, ²Kidney and Vascular Pathology, Faculty of Medicine, University of Tsukuba

（論文受付:2020年6月30日）

（採用決定:2020年8月21日）