症例報告

食道に発生した単相線維型滑膜肉腫の1例

瀬川　惠子¹　　　杉田真太朗²　　　福田　直也³
長谷川　匡²

（¹市立釧路総合病院病理診断科，²札幌医科大学医学部病理診断学，
³市立釧路総合病院外科）

要旨: 症例は70代前半の男性。食道に9.7×9.0×5.5cm大の粘膜下腫瘤を認めた。組織学的に，紡錘形腫瘍細胞の束状増殖を認め，多数の核分裂像や壊死を伴っていた。免疫組織化学的に，腫瘍細胞はvimentin，TLE-1，AE1/AE3，EMAに陽性を示し，fluorescence in situ hybridizationでSS18遺伝子再構成を認め，滑膜肉腫と診断した。滑膜肉腫が食道に発生することはまれであるが，全身のあらゆる部位に発生しうる腫瘍である。遺伝子検索を含めた検討が確定診断に有効である。

キーワード:esophagus, synovial sarcoma, SS18 gene rearrangement, fluorescence in situ hybridization

Synovial sarcoma of the esophagus

Keiko Segawa¹, Shintaro Sugita², Naoya Fukuda³, and Tadashi Hasegawa²

Departments of ¹Surgical Pathology and ³Surgery, Kushiro City General Hospital
²Department of Surgical Pathology, Sapporo Medical University, School of Medicine

（論文受付:2020年1月31日）

（採用決定:2020年5月1日）