症例報告

子宮に発生したIGFBP5-ALK融合遺伝子を持つ炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の1例

久保　千幸¹　　　松山　篤二¹　　　茗荷　　舞²
吉村　和晃²　　　吉野　　潔³　　　久岡　正典¹

（¹産業医科大学医学部第一病理学，²産業医科大学若松病院産婦人科，³産業医科大学医学部産科婦人科学）

要旨: 47歳女性の子宮体部に発生した炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の1例を報告する。組織学的に好酸性細胞質を持つ紡錘形細胞が炎症細胞を混じて束状に増殖し，粘液腫状間質や硝子化を伴っていた。免疫組織化学的にα-SMAとALKが陽性で，パラフィン包埋腫瘍組織を用いたRT-PCR法およびシークエンス解析にてIGFBP5-ALK融合遺伝子転写産物が検出され，炎症性筋線維芽細胞性腫瘍と診断された。生物学的態度ならびに治療法の選択が異なるため，平滑筋腫瘍や内膜間質腫瘍などの他の腫瘍と鑑別する必要がある。

キーワード: uterus, inflammatory myofibroblastic tumor, ALK, IGFBP5, histology

A case of uterine inflammatory myofibroblastic tumor with IGFBP5-ALK fusion gene

Chisachi Kubo1, Atsuji Matsuyama¹, Mai Myoga², Kazuaki Yoshimura², Kiyoshi Yoshino³, and Masanori Hisaoka¹

Departments of ¹Pathology and Oncology and ³Obstetrics and Gynecology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
²Department of Obstetrics and Gynecology, Wakamatsu Hospital of the University of Occupational and Environmental Health

（論文受付:2019年12月20日）

（採用決定:2020年4月13日）