総　　説

前立腺癌の病理診断を巡る様々問題
─日本の病理診断は世界標準から周回遅れなのか？─

都築　豊徳　　　伊藤　貴至　　　谷口奈都希
山本　侑季　　　露木　琢司　　　高原　大志

（愛知医科大学病院病理診断科）

要旨: 日本における前立腺癌の診断基準および報告様式は2005年にInternational Society of Urological Pathology（ISUP）から発表された内容に準拠している。しかしながら，その後は日本での前立腺癌の基本概念にはあまり変化がなく，その間に変貌した世界の潮流に取り残されているのが現状である。本稿では，2005年以降に大きく変化した前立腺癌の概念であるGrade Group分類，Gleason pattern 4の成分量の記載，Intraductal carcinoma of the prostateの概念とその意義を紹介するとともに，現在討論が繰り返されているこれらの問題点を解説する。また，治療効果判定を巡る問題に関してもその問題点と世界の現状を解説する。

キーワード:prostate cancer, Gleason score, Grade Group, Intraductal carcinoma of the prostate, therapy effect

Contemporary topics of prostate cancer pathology
─Are we behind global standard?─

Toyonori Tsuzuki, Takanori Ito, Natsuki Taniguchi, Yuuki Yamamoto, Takuji Tsuyuki, and Taishi Takahara

Department of Surgical Pathology, Aichi Medical University Hospital

（論文受付:2020年5月11日）

（採用決定:2020年5月28日）