総　　説

移植腎生検の病理

小池　淳樹^1,2　　　服部　元史²

（¹聖マリアンナ医科大学病理学，²東京女子医科大学腎臓小児科）

要旨: 腎移植実施施設の増加に伴い，移植臓器の診断を専門としない病理医にも移植腎生検の診断が求められるようになっている。腎移植の病理診断はBanff分類に従って行われるが，このBanff分類は，生検組織にみられる病変に，適切な重み付けを行って分類表に照らせば，誰が診断しても同じ結論に到達できるよう配慮されている。現行のBanff分類は形態観察による拒絶反応の診断のツールとしては完成形に近いと考えられ，本稿では，Banff分類を中心に拒絶反応とその鑑別診断について概説する。

キーワード:kidney transplantation, antibody-mediated rejection, T-cell-mediated rejection, Banff classification

Pathology of transplant kidney

Junki Koike^1,2 and Motoshi Hattori²

¹Department of Pathology, St. Marianna University, School of Medicine
²Department of Pediatric Nephrology, Tokyo Women’s Medical University

（論文受付:2020年3月9日）

（採用決定:2020年4月24日）