症例報告

限局的に嚢胞性中膜壊死を認めた若年成人大動脈基部破裂の1剖検例

青木光希子¹　　　加藤　誠也²　　　��田　利尚¹
吉村　雅代¹　　　池　　周而³　　　中村　誠之³
鍋島　一樹¹

（¹福岡大学医学部病理学講座，²済生会福岡総合病院病理診断科，
³福岡大学医学部心臓·血管内科学講座）

要旨: 20歳代，男性。Marfan様体躯はない。2週間前より胸痛を自覚，鎮痛剤で一旦軽快したが更に激しい胸痛が出現して搬送された。心エコー図で大動脈基部の拡大と大動脈弁閉鎖不全，心嚢液貯留を認めたが，造影CT上解離は検出されなかった。保存的に経過観察されたが発症より14病日に心肺停止状態で発見，剖検では大動脈起始部の破裂とその近傍に嚢胞性中膜壊死を認めた。先天的結合組織異常が疑われたが，遺伝子検索は未実施である。切迫破裂の段階で画像上，血管損傷部の同定が困難であった大動脈基部破裂例の病理組織像につき報告する。

キーワード:aortic root, rupture, cystic medial necrosis, connective tissue disease, sudden death

An autopsy case of aortic root rupture with localized cystic medial necrosis in a young adult

Mikiko Aoki¹, Seiya Kato², Toshinao Hamada¹, Masayo Yoshimura¹, Amane Ike³, Masayuki Nakamura³, and Kazuki Nabeshima¹

Departments of ¹Pathology and ³Cardioloy, Fukuoka University Hospital and Faculty of Medicine
²Division of Pathology Saiseikai Fukuoka General Hospital

（論文受付:2019年11月20日）

（採用決定:2020年2月26日）