症例報告

傍糸球体細胞腫2例の臨床·病理学的検討

久永　悦子¹　　　佐野　孝昭²　　　新井　基展¹
野村　昌史³　　　鈴木　和浩³　　　伊古田勇人¹

（¹群馬大学医学部附属病院病理部·病理診断科，²群馬大学大学院医学系研究科病理診断学講座，
³群馬大学医学部附属病院泌尿器科）

要旨: 傍糸球体細胞腫2例について報告する。症例1は11歳女児で，学校検診で高血圧を指摘，症例2は降圧剤内服中の62歳男性で，PET検診で腎腫瘍を指摘された。病理所見は，類円形核と好酸性細胞質をもつ腫瘍細胞が上皮様に増殖し，免疫染色にてCD34陽性，レニン陽性で，いずれも傍糸球体細胞腫と診断した。症例1は典型例であるが，症例2は臨床的には非典型例と考えられた。症例2のように，高年患者の腎腫瘍の病理診断では，高血圧症を有する場合，稀ではあるが傍糸球体細胞腫を常に鑑別に挙げることが必要と考えられた。

キーワード:kidney, juxtaglomerular cell tumor, renin, hypertension, pleomorphism

Juxtaglomerular cell tumor:a clinicopathological study of two cases

Etsuko Hisanaga¹, Takaaki Sano², Motohiro Arai¹, Masashi Nomura³, Kazuhiro Suzuki³, and Hayato Ikota¹

Clinical Departments of ¹Pathology and ³Urology, Gunma University Hospital
²Department of Diagnostic Pathology, Graduate School of Gunma University

（論文受付:2019年9月27日）

（採用決定:2020年1月21日）