症例報告

大腿骨原発の筋上皮癌の1例

藤本　有香¹　　　有廣　光司²　　　城間　紀之²
織田　麻琴²　　　森　　馨一2

（¹昭和大学医学部，²広島大学病院病理診断科）

要旨: 症例は70代，男性。約9ケ月前より右膝痛を自覚した。組織学的に右大腿骨遠位骨幹部の腫瘤は，大型多角形腫瘍細胞が小型索状を示し，また紡錘形腫瘍細胞が束状に錯綜して骨皮質を破壊し，周囲の軟部組織へ浸潤する腫瘍であった。免疫組織化学的に腫瘍細胞はcytokeratin （CK） 5/6， p63， calponin， S-100蛋白が陽性であり筋上皮癌と診断した。fluorescence in situ hybridization （FISH）ではEWSR1遺伝子再構成はなかった。骨原発筋上皮腫瘍は稀であり，また様々な組織像を示すことを念頭に置いた検索が肝要であろう。

キーワード:bone, femur, myoepithelial carcinoma, p63, EWSR1 gene arrangement

Myoepithelial carcinoma of bone arising from femur:a case report

Yuka Fujimoto¹, Koji Arihiro², Noriyuki Shiroma², Makoto Orita², and Keiichi Mori²

¹School of Medicine, Showa University Faculty of Medicine
²Department of Anatomical Pathology, Hiroshima University Hospital

（論文受付:2019年8月17日）

（採用決定:2020年1月21日）