総　　説

唾液腺腫瘍の病理
──Update:WHO組織分類第4版の解説と最近の知見から──

浦野　　誠

（藤田医科大学医学部病理診断学講座）

要旨: 唾液腺腫瘍WHO組織分類第4版（2017）に記載された新規の組織型について第3版との比較を行い概説した。また従来からの主たる組織型に関する新知見および新たな概念についてまとめた。近年，唾液腺領域においても腫瘍特異的遺伝子変異の発見，分子病理診断が進歩しつつある。しかし日常の病理診断では，まずは詳細な組織像の読み取りと適切な免疫染色の選択を行い，正しい診断方向に導くことが重要である。さらに遺伝子異常の検索による診断困難例の検討，難治例に対する分子標的治療·個別化医療への連携が期待される。

キーワード:salivary gland tumor, pathological diagnosis, WHO classification, fusion gene, personalized medicine

Update on the WHO classification 4th edition and the recent expertise of salivary gland tumors

Makoto Urano

Department of Diagnostic Pathology, Fujita Health University, School of Medicine

（論文受付:2020年3月3日）

（採用決定:2020年3月9日）