症例報告

S状結腸に発生したMucosal Schwann cell hamartomaの2例

臼井　美希¹　　　村田　哲也¹　　　朝川　可奈¹
馬場洋一郎¹　　　向　　克巳²　　　江河　勇樹³

（¹JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院病理診断科，²同　消化器内科，³静岡市立静岡病院病理診断科）

要旨: S状結腸に発生したMucosal Schwann cell hamartoma（粘膜内シュワン細胞過誤腫）の2例を報告する。症例1は60代女性。自覚症状はないが，健康診断で便潜血陽性を指摘され精査目的で当院受診となり，下部消化管内視鏡検査でS状結腸に4 mmの扁平隆起性病変がみられ，同部位から生検が施行された。症例2は40代女性。上行結腸穿通で抗生剤治療が行われ，退院後2ケ月後の精査の下部消化管内視鏡検査により，S状結腸に6 mmのポリープが認められ内視鏡的切除が行われた。どちらの症例も，組織学的に腺上皮に過形成や異形成はなく，上皮下に好酸性細胞質を有する紡錘形細胞の小さな集簇が多発して認められた。免疫組織化学的にS100蛋白に陽性でニューロフィラメントは陰性であった。

キーワード:colon, mucosal Schwann cell hamartoma, submucosal tumor, histology

Two cases of mucosal Schwann cell hamartoma of the colon

Miki Usui¹, Tetsuya Murata¹, Kana Asakawa¹, Youichirou Baba¹, Katsumi Mukai², and Yuki Egawa³

Departments of ¹Pathology and ²Gastroenterology, JA Suzuka General Hospital
³Department of Diagnostic Pathology, Shizuoka City Shizuoka Hospital

（論文受付:2019年8月6日）

（採用決定:2019年12月3日）