症例報告

経気管支生検で術前診断が困難であった肺定型カルチノイドの1切除例

松原　　修¹　　　島矢　和浩²　　　山仲　一輝³
神　　靖人²　　　稲瀬　直彦²

（¹平塚共済病院病理診断科，²同　呼吸器内科，³同　外科）

要旨: 症例は50歳代，男性。検診で胸部異常陰影を指摘され，5年の経過で経時的に増大したため，経気管支生検がなされた。異型細胞が主に管状を示し増殖する像が優位であり，腺癌と診断した。開胸左肺下葉切除術が施行され，手術材料では定型カルチノイドと診断した。生検材料では腺管構造とロゼット状構造の判別はしばしば困難であり，個々の細胞の神経内分泌形態を把握すること，免疫組織化学的に神経内分泌マーカーを評価することが重要である。また，病理診断においては，臨床経過や放射線医学的な所見を十分に把握することが重要である。

キーワード:carcinoid tumor, solitary nodule of the lung, neuroendocrine marker

A case of typical carcinoid of the lung-difficult problem to differentiate rosettes from tubular structures

Osamu Matsubara¹, Kazuhiro Shimaya², Kazuki Yamanaka³, Yasuto Jin², and Naohiko Inase²

Departments of ¹Pathology, ²Respiratory Medicine, and ³Surgery, Hiratsuka Kyosai Hospital

（論文受付:2019年7月30日）

（採用決定:2019年11月19日）