症例報告

胃plexiform fibromyxomaの1例

高橋　　央¹　　　鈴木　潮人¹　　　水上　和夫¹
大西　一平¹　　　松本　圭五²　　　湊　　　宏³
谷岡　書彦¹

（¹磐田市立総合病院病理診断科，²同　消化器外科，³石川県立中央病院病理診断科）

要旨: 55歳，女性。胃前庭部の粘膜下腫瘍に対して胃部分切除術が施行された。肉眼的に腫瘍は長径48mm大で，割面はゼラチン様であった。組織学的に腫瘍は多結節状で，周囲の固有筋層へ分け入るように進展する像が目立った。腫瘍内部には豊富な粘液様間質を背景として紡錘形腫瘍細胞が疎に分布しており，多形性はみられなかった。免疫組織化学的に腫瘍細胞はαSMA，HHF-35，desminに陽性，CD34，CD117，DOG1，S100に陰性を示した。Plexiform fibromyxoma （PF）と診断された。PFは切除によって治癒し得る良性腫瘍であり，GISTと鑑別することが重要である。今回我々は稀なPFの1例を経験したので，文献的考察を加えて報告する。

キーワード:stomach, submucosal tumor, plexiform fibromyxoma, plexiform angiomyxoid myofibroblastic tumor, gastrointestinal stromal tumor

A case of gastric plexiform fibromyxoma

Ou Takahashi¹, Shioto Suzuki¹, Kazuo Mizukami¹, Ippei Ohnishi¹, Keigo Matsumoto², Hiroshi Minato³, and Fumihiko Tanioka¹

Divisions of ¹Pathology and ²Gastroenterological Surgery, Iwata City Hospital
³Department of Diagnostic Pathology, Ishikawa Prefectural Central Hospital

（論文受付:2019年6月19日）

（採用決定:2019年9月24日）