症例報告

デノスマブ投与後の骨巨細胞腫の1例

大栗　伸行^1,2　　　山下　　篤¹　　　坂本　武郎³
帖佐　悦男³　　　浅田祐士郎¹　　　佐藤勇一郎²

（¹宮崎大学医学部病理学講座構造機能病態学分野，²宮崎大学医学部附属病院病理診断科，
³宮崎大学医学部整形外科学）

要旨: 今回我々はデノスマブ投与後に特徴的な組織変化を呈した骨巨細胞腫の1例を報告する。症例は20代女性。左膝痛のため受診し，左大腿骨遠位部の骨巨細胞腫と診断された。デノスマブ投与2ケ月後，骨腫瘍掻爬術と人工骨移植術が行われた。掻爬術時の組織標本では，破骨細胞がほぼ消失し，病変は不規則な類骨組織，壊死組織，肉芽組織に置換され，一部に腫瘍性の短紡錘形細胞が増殖していた。組織学的に骨芽細胞腫や骨肉腫，線維性異形成と類似し，デノスマブ投与後の組織像を把握しておくことが重要と考えられた。

キーワード:bone, giant cell tumor, denosumab, pathology

A case of denosumab-treated giant cell tumor of bone

Nobuyuki Oguri^1,2, Atsushi Yamashita¹, Takero Sakamoto³, Etsuo Chosa³, Yujiro Asada¹, and Yuichiro Sato²

Departments of ¹Pathology and ³Orthopaedic Surgery, Faculty of Medicine, University of Miyazaki
²Department of Diagnostic Pathology, University of Miyazaki Hospital

（論文受付:2019年3月13日）

（採用決定:2019年9月24日）