症例報告

臨床的に表皮嚢腫に類似したインスリンボールの1例

橘　　充弘¹　　　善當　　翼²　　　寺井　　勉³
堤　　　寛^1,4

（¹市立島田市民病院病理診断科，²同　糖尿病·内分泌内科，³同　形成外科，⁴つつみ病理相談所）

要旨: 2型糖尿病患者の腹部インスリン注射部位に皮下腫瘤，いわゆるインスリンボールが発生した1例を報告する。臨床診断は表皮嚢腫であった。組織学的に異物反応を伴う好酸性均一な物質沈着像で，偏光観察でapple greenの複屈折性を示した。免疫染色でインスリンが陽性だった。病理組織学的にアミロイド沈着を同定し，免疫染色でインスリン陽性であることがインスリンボール確定診断のカギである。病変を外科的に切除することで血糖コントロールを改善させることが期待できる。

キーワード:skin, insulin ball, epidermal cyst, insulin-derived amyloidosis

A case of insulin ball, clinically mimicking epidermal cyst

Mitsuhiro Tachibana¹, Tsubasa Zento², Tsutomu Terai³, and Yutaka Tsutsumi1,4

Department of ¹Diagnostic Pathology, ²Diabetes and Endocrinology, and ³Plastic Surgery, Shimada Municipal Hospital
⁴Pathos Tsutsumi

（論文受付　2019年5月8日）

（採用決定　2019年7月27日）