症例報告

組織学的に著明な層形成を示した結節性筋膜炎の1例

吉河 康二1   中園 裕一1   梅木真由子2

1国立病院機構別府医療センター病理診断科,2同 皮膚科・皮膚腫瘍科)

要旨: 50代女性の背部皮下に起こった結節性筋膜炎を報告する。組織学的には,大部分はケロイド様膠原線維と粘液様基質に富む硬化性病変であったが,辺縁部には紡錘形細胞が束状ないし花むしろ状に増殖する密度の高い組織が全周性に層を形成していた。文献的に結節性筋膜炎にこのような層形成がみられるという具体的記述はほとんどなく,病変の発生過程を推理する上で大変興味深い。すなわち,細胞に富む活動性病変が同心円状に外側に進展する一方で,時間の経過した硬化性病変が中心部に取り残されるように形成されたものと考えられる。

キーワード:soft tissue, nodular fasciitis, pseudosarcomatous fasciitis, transient neoplasia


A case of nodular fasciitis showing a peculiar zonal structure

Yasuji Yoshikawa1, Yuichi Nakazono1, and Mayuko Umeki2

Departments of 1Pathology and 2Dermatology, Beppu Medical Center, The National Hospital Organization

(論文受付 2019年4月22日)

(採用決定 2019年7月23日)