症例報告

腎盂尿管移行部に腫瘤を形成したIgG4関連疾患の1例

杉山　誠治¹　　　松永　研吾¹　　　山田　鉄也²
豊田　将平³　　　亀井　信吾³　　　石原　　哲³

（¹社会医療法人厚生会木沢記念病院病理診断科，²同　病理診断センター，³同　泌尿器科）

要旨: 血尿と発熱で受診した70代男性。左腎盂尿管移行部に腫瘤を認め，腎盂癌の可能性を否定できず左腎尿管全摘術を行った。手術標本では腎盂尿管移行部周囲に壁外性に拡がる淡褐色調の腫瘤を認めた。組織学的には硬化性線維化とリンパ球·IgG4陽性形質細胞の著明な浸潤を認めた。僅かながら病変は腎実質にも波及していた。術後9日の血清IgG4値も高値であったことから，IgG4関連疾患と診断した。腎盂尿管移行部に腫瘤を形成したIgG4関連疾患の希少例を経験したので，文献的考察を加えて報告する。

キーワード:ureteropelvic junction, IgG4-related disease, fibrosclerosis

A case of IgG4-related disease forming a mass lesion in the ureteropelvic junction

Seiji Sugiyama¹, Kengo Matsunaga¹, Tetsuya Yamada², Shohei Toyota³, Shingo Kamei³, and Satoshi Ishihara³

¹Department of Diagnostic Pathology, ²Diagnostic Pathology Center, and ³Department of Urology, Kizawa Memorial Hospital

（論文受付　2019年1月5日）

（採用決定　2019年6月10日）