症例報告

心移植後の患者にみられたEBウイルス関連平滑筋腫の1例

本山　雄一¹　　　池田純一郎²　　　森井　英一¹

（¹大阪大学医学部附属病院病理診断科，²千葉大学大学院医学研究院診断病理学）

要旨: EBウイルス関連平滑筋腫は臓器移植後の患者やAIDS患者にみられるまれな間葉系腫瘍である。今回心移植後にリンパ増殖性疾患を併発したEBウイルス関連平滑筋腫を発症，観察中に多発，出血をきたし生命予後に関わる影響を与えた症例を経験した。増悪した原因を組織学的に究明するため，免疫染色を追加し比較したが，症状が増悪した原因において腫瘍の数，大きさの増加といったものに因らない組織学的な所見，すなわち腫瘍細胞に新たな変異が加わったといえるような所見を示すことはできなかった。

キーワード:Sigmoid colon, Epstein-Barr virus （EBV）, smooth muscle tumor （SMT）, Polymorphic lymphoproliferative disorders, post transplantation

A case of Epstein-Barr virus-associated smooth muscle tumor after heart transplantation

Yuichi Motoyama¹, Junichiro Ikeda², and Eiichi Morii¹

¹Department of Diagnostic Pathology, Osaka University Hospital
²Department of Diagnostic Pathology, Graduate School of Medicine, Chiba University

（論文受付　2019年2月5日）

（採用決定　2019年5月18日）