症例報告

鼻腔に発生したグロムス腫瘍の1例

田原　一平¹　　　望月　邦夫¹　　　中澤　匡男²
五十嵐　賢³　　　増山　敬祐³　　　近藤　哲夫¹

（¹山梨大学人体病理学講座，²山梨大学医学部附属病院病理部，³山梨大学耳鼻咽喉科·頭頸部外科学講座）

要旨: 口腔内腫脹を主訴とし当院を受診した70歳女性。口腔内腫脹の他に左鼻中隔のポリープを認めた。その後，ポリープには変化がみられなかったため，生検を施行した。血管周囲での淡明な細胞質を有する細胞の増殖からなる病変で，免疫染色でα-smooth muscle actinがびまん性に陽性であった。これらの所見よりグロムス腫瘍と診断した。グロムス腫瘍は主に四肢末端から発生する腫瘍であるが，極めて稀な鼻腔発生のグロムス腫瘍を経験し，今後の鼻腔腫瘍の診断に有益であると考えたため報告する。

キーワード:nasal cavity, glomus tumor, α-smooth muscle actin, Histology

A case report:glomus tumor of the nasal cavity

Ippei Tahara¹, Kunio Mochizuki¹, Tadao Nakazawa², Satoshi Igarashi³, Keisuke Masuyama³, and Tetsuo Kondo¹

Departments of ¹Pathology and ³Otolaryngology, University of Yamanashi
²Department of Pathology, University of Yamanashi Hospital

（論文受付:2019年1月24日）

（採用決定:2019年4月24日）