症例報告

膵臓に発生した破骨細胞様巨細胞型退形成性膵管癌の1例

清澤　大裕　　　下釜　達朗　　　金城　　満

（製鉄記念八幡病院病理診断科）

要旨: 62歳，男性。右腎細胞癌に対し腹腔鏡補助下腎摘出術施行後，術後3ケ月のフォローCTで膵腫瘍を指摘され，膵体尾部切除術が施行された。摘出膵に径3.4×2.7cmの暗色調を呈する充実性腫瘤を認め，組織学的に未分化な腫瘍細胞と非腫瘍性の多核巨細胞から構成されていた。免疫染色で腫瘍細胞は上皮マーカーが陽性，多核巨細胞はCD68がそれぞれ陽性であった。腫瘍のごく一部に通常型膵管癌の像も認めた。以上の所見より破骨細胞様巨細胞型退形成性膵管癌と診断した。本患者は術後5年間無治療で再発，転移なく経過した。

キーワード:pancreas, undifferentiated carcinoma with osteoclast-like giant cells, ductal adenocarcinoma, immunohistochemistry

Pancreatic undifferentiated carcinoma with osteoclast-like giant cells;report of a case

Daisuke Kiyozawa, Tatsuro Shimokama, and Mitsuru Kinjo

Department of Pathology, Steel Memorial Yawata Hospital

（論文受付:2019年2月12日）

（採用決定:2019年4月9日）