症例報告

消化管壁構造を伴った胆嚢異所性膵の1例

浅川奈々絵¹　　　横内　　幸¹　　　佐藤　若菜¹
榎本　泰典¹　　　大原関利章¹　　　渡邊　良平²
�煖ｴ　　啓¹

（¹東邦大学医療センター大橋病院病理診断科，²同　外科）

要旨: 消化管壁構造を伴った胆嚢異所性膵の1例を経験した。症例は83歳女性。肉眼的に胆嚢頸部に35×30mm大の低隆起性病変を認めた。組織学的に，病変部の胆嚢壁には粘膜，粘膜筋板，粘膜下層，固有筋層，漿膜下層という消化管壁に相当する構造が観察され，粘膜から粘膜下層にかけてHeinrich II型に相当する異所性膵組織が確認された。粘膜内に胃底腺成分はなかったが，表層上皮にMUC5ACを，深部上皮にMUC6を発現する胃粘膜に類似した領域が存在し，膵だけでなく胃壁構成成分が迷入している可能性が示唆された。

キーワード:gallbladder, heterotopic pancreatic tissue, heterotopic gastrointestinal tissue, histology

A case of heterotopic pancreatic tissue coexisting with heterotopic gastrointestinal tissue in the gallbladder

Nanae Asakawa¹, Yuki Yokouchi¹, Wakana Sato¹, Yasunori Enomoto¹, Toshiaki Oharaseki¹, Ryohei Watanabe², and Kei Takahashi¹

Departments of ¹Surgical Pathology and ²Surgery, Toho University Ohashi Medical Center

（論文受付　2018年9月24日）

（採用決定　2019年3月4日）