総　　説

造血細胞移植後皮膚病変の病理

伊藤　雅文

（名古屋第一赤十字病院病理部）

要旨: 骨髄移植から展開した造血細胞移植は，血液疾患の標準的治療となっている。GVHDは，有効な免疫抑制剤の開発，疾患の理解が進み，重篤な合併症のイメージから変わりつつある。移植後合併症は皮膚病変を端緒に見出される場合が多く，生検も容易であることから病理診断が要請される場合が多い。しかし，疾患特異マーカーがないことや，原因に迫ることが難しい非特異的所見が主体であり，必ずしも十分な理解が得られているわけではない。本総説では，造血細胞移植後皮膚病理を，GVHDとその鑑別に主眼を置いてまとめたものである。

キーワード:hematopoietic cell transplantation, GVHD, engraftment, skin pathology

Dermatopathology of post stem cell transplantation

Masafumi Ito

Department of Pathology, Japanese Red Cross, Nagoya 1st. Hospital

（論文受付　2019年3月8日）

（採用決定　2019年4月30日）