症例報告

良性葉状腫瘍の一部に浸潤性乳管癌を合併した1症例

田中　えり¹　　　森谷　鈴子¹　　　木村　祥佳¹
日野　倫子¹　　　猪飼　信康¹　　　苗村　　智¹
松原亜季子¹　　　北村　美奈²　　　九嶋　亮治¹

（¹滋賀医科大学附属病院病理診断科，²同　乳腺一般外科）

要旨: 症例は53歳女性。右乳房腫瘤を自覚し，画像所見および針生検結果から良性葉状腫瘍が疑われた。腫瘍摘出術が行われ，最大径7cmの腫瘍が採取された。組織学的には良性葉状腫瘍であったが，内部に最大径12mmの浸潤性乳管癌を合併していた。葉状腫瘍内の上皮増殖性病変の多くは良性であるが，稀に癌が発生することに注意し，免疫染色を適切に用いて鑑別する必要があると思われる。

キーワード:breast, phyllodes tumor, invasive ductal carcinoma, ductal carcinoma in situ

A case of invasive ductal carcinoma within a benign phyllodes tumor

Eri Tanaka¹, Suzuko Moritani¹, Shoka Kimura¹, Michiko Hino¹, Nobuyasu Ikai¹, Tomo Namura¹, Akiko Matsubara¹, Mina Kitamura², Ryoji Kushima¹

¹Division of Diagnostic Pathology and ²Department of Breast and General Surgery, Shiga University of Medical Science Hospital

（論文受付　2018年9月3日）

（採用決定　2019年1月29日）