症例報告

S状結腸子宮内膜症より発生した低異型度子宮内膜間質肉腫の1例

松永　由紀^1,2　　　安岡　弘直¹　　　辻　　洋美¹
手向　麻衣³　　　久松　武志³　　　西尾　幸浩³
辻本　正彦¹

（¹大阪警察病院病理診断科，²住友病院病理部，³大阪警察病院産婦人科）

要旨: 77歳，女性。画像検査にて骨盤内腫瘤を指摘された。S状結腸，小腸に強固に癒着した腫瘍を認め，類円形核を有する短紡錘形細胞が充実性に増殖し，免疫染色でCD10，Vimentin，ER陽性であった。また，腫瘍と連続してS状結腸壁内に異所性内膜組織を認め，S状結腸子宮内膜症由来の低異型度子宮内膜間質肉腫と診断した。子宮内膜由来の悪性腫瘍は大部分が卵巣で発生し，組織型は類内膜癌や明細胞癌等の癌種の頻度が高い。S状結腸内の異所性内膜組織由来の子宮内膜間質肉腫という非常に稀な症例を経験したため，文献的考察を含めて報告する。

キーワード:colon, low grade, endometrial stromal sarcoma, endometriosis, extrauterine

Low-grade endometrial stromal sarcoma arising from endometriosis of the sigmoid colon:case report and literature review

Yuki Matsunaga^1,2, Hironao Yasuoka¹, Hiromi Tsuji¹, Mai Temukai³, Takeshi Hisamatsu³, Yukihiro Nishio³, and Masahiko Tsujimoto¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ²Obstetrics and Gynecology, Osaka Police Hospital
²Department of Pathology, Sumitomo Hospital

（論文受付　2018年6月29日）

（採用決定　2018年10月12日）